ー 開幕 ー

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    ーこの世の何より、『葵』が大事ー 原田は、本当にそう思っている。その『想い』に『嘘偽り』などは、一切なかった。 けれども、その『想い』こそが、『重大な問題』であった。 原田 (今更、文を返しても遅いしな。葵が到着したら、追い返すことなんて、出来ねえ。)  いつだって、『葵にだけ』は、とことん弱い。あの『琥珀の瞳』に見詰められると、何も言えなくなってしまうのだ。  第一、たった二人きりの『兄妹』なのだ。『大切』でないはずがない。 原田 (まぁ、仕方ねえかな。『葵』は『普通』じゃねえんだし……………。) 原田は、葵の『正身(ムザネ)』を、葵自身よりも、『理解』しているから……………。 ー葵が来るなら、きっと『面倒事』は避けられないー それは、わかっていたけれど。それでも、傍にいれば、『護ってやれる』はずだ。  例え、葵を『その宿命』からだけは、護ってやれぬ、としても。 原田 「取り敢えず。『無事』に京まで着けるか?それが『心配』なんだよなぁ。」  葵は『剣術』の心得があり、かなり腕もたつので、『滅多なこと』には、なりはしないだろうが。 それでも、やはり『心配』は尽きない。
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