ー 開幕 ー

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 五年前まで、養父母から文字通り『箱入り』に育てられたが故、『純真無垢』な葵は、底抜けに『世間知らず』だ。  恐らくは、世の中の『汚いもの』や『醜いもの』などは、見たことも聞いたことも、ないであろう。 ー今現在『京の治安』は、最悪と言っても『過言』  ではないほどに、荒んでいるのが『現状』だったー  良くも悪くも、葵の『容貌』は、人目を引く。実際、葵を一目でも見たことがある男は、皆が葵を『欲しがった』から。       ー類い稀な見目麗しい娘ー  人づてに『噂』が広まり、葵の姿を一目見ようとする者や、葵に『求婚』する者も、後を断たなかったと聞く。  ー既に、葵には『許嫁』がいたにも、関わらずー  まずは、『無事』に京に着くこと。それが先決だ。一番いいのは『迎え』に行ければいいのだが、何日(いつ)到着するのかさえ、わからなかったから…………。     ー取り敢えず、どうか『無事』でー  原田には、そう切に祈ることしか出来なかった。
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