ー 第一章 ー

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 しかし、そんな千鶴の『心配』を他所に、咲夜も沖田も、それきり黙ってしまう。 原田 「っつーか、久しぶりに聞いたぜ、咲夜の声。前は土方さんと愁夜以外とは、話さなかったもんな?あ、あと斎藤もか。」 咲夜 「別に。ただ、無駄話は、あまり好かぬだけだ。」  そう、寡黙であり、こう言う言い方をするのも、咲夜と斎藤だけである。まぁ、斎藤は、咲夜ほど『無口・無愛想』ではないが。 けれど、咲夜が殆んど話さなくなったのは、正確には愁夜が『羅刹化』して以降だ。 それ以前は、まだ表情も僅かにあったし、声も聞くことだって、あったのに………。  冷静沈着且つ、愛想も良くはない咲夜だが、愁夜だけは違っていた。愁夜と共にいる時だけ、咲夜は笑みを浮かべていた。  故に愁夜が『羅刹化』した際の咲夜の『嘆き様』は、言葉では言い表せぬくらい、酷いものだった。 元々の『寡黙さ』に、更に拍車が掛かり、土方とでさえ『必用最低限』以上、話さなくなった。 事実。千鶴が来るまで、表情がなかった。咲夜が以前のように、話をするようになったり、僅かとは言え表情を変えるようになったのも、千鶴のお陰に他ならない。
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