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第1話
『ちょっと待って…全然ついていけない。もう一回説明してもらえますか?』
と、いいつつも俺は約16年間の短い人生で一番冷静になれている気がする。予想外の出来事が起こってもなお、脳は必死に理解しようとするのか。なんて考えながら・・・・
『これで3回目だよ?だから、坂本春香君は選ばれたの。PWCにね♪』
俺の目の前にいる、優しそうな・・・・というのが一番しっくりくる20代前後くらいのやせ形のイケメン男性が、本日3回目の、そのPWCというものの説明を始めた。
『Past War Change。過去、戦争、変わる。直訳するとこうなるのは分かるかな?中学でも英語は習ったはずだから、これくらいはわかるよね?ふ。ごめん。それらの頭文字でPWC♪』
英語は得意なほうだと自負している。と、心の中で反論してみる。
『簡単に言えば、PWCに選ばれたプレイヤー自身の過去を主に使って、ゲームや人助けなどをしてもらうだけ。なーんて簡単だ♪』
その後、何か呟いたかと思えば
『…使った過去は消えちゃうけどね。』
…とんでもないことをさらっと言いやがったなこいつ。
『あのー、消えるとは?具体的には俺だけが記憶喪失みたいになり、周りは覚えているのですか?それに、主にとは?何か引っかかる言い方ですね…』
恐る恐る伺うも、本当に…記憶だけなのか?
ただでさえ一杯一杯なのに、所々俺を試すような物言い…
『正確にいうと消えた結果、新たな過去にかわるかな。元の過去に関して言えば自分だけは覚えている。ただ、春香君以外からしたら違う過去に書き換えられる。が一番正しいかな♪』
『主にとは、未来も対価として使うことも出来るってこと。ただ、未来は可能性を使うから、使った実感は少ないかもね♪』
おそらくだが、この人は極力最低限の情報以外は伝えないつもりなのだろう。俺の質問に対しては答えることを考えると・・・・
『あと~』
と、もっと情報を仕入れようとする俺の口を遮るように
『んで、細かいルールなどももちろんあるし、それによって聞きたいことももっと増えるよね?立ち話もなんだし奢るからカフェ行こうよ。』
『はぁ。』
1番近くのカフェまでおよそ徒歩5分の間、たわいもない世間話を適当な相槌で合わせながらも今日一日を頭で振り返っていた。
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