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父親は厳格な母親と違い娘のミルカに非常に優しく、気にかけてくれる。
ただそう言う親切心がうざったく思う時もあるが母親や講師に厳しくシゴかれている時は父親の励ましがありがたく感じるので気にしないことにした。
ミルカは父親に誘われ一台の車に乗る。
シルバーのごく地味な軽自動車だ。
変な臭いが鼻につくがミルカはそれに耐えながら外に映る景色を見つめる。
父親は前の運転に集中するがずっと無言であるのを避けるように話しかける。
「いつぶりだろうな、ミルカと二人っきりでデパートに出かけるなんて」
「い…いつぶりだろうね?でもいつもお母さんや講師にイビられっ放しだからたまにはこういうのも良いだろ?」
何かを隠しているようにも感じるが気を使うように父親に語りかけるミルカ。
父親はそんなミルカを見て思った。
(ミルカの奴…いつもとはまるで違って無防備になったな…俺のこと許してくれるようになったのだろうか??)
最近のミルカはこともあろうか飾らぬ姿で歩いたり足を広げて居間で寝たりする。
かつてのミルカは無論、そんな事は無かった。
反抗期さながら父親にはあまり心を開かなかったのだ。
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