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ミルカ達の前に現れた人物は意外でもあり、またミルカにとって最も身近にいる人物だった。
「お父さん!!」
見慣れたその男性にミルカは思わず声をあげる。
「ミルカ!怪我は無いか?」
ミルカに駆け寄り心配そうな眼差しでミルカに声をかける父親。
「ありがとう、僕なら大丈夫!それよりもその子が…」
ミルカは怪我を負った少年に気をかける。
「心配すんじゃねえ…俺なら…痛ちちっ」
強がって立ち上がろうとするも何処かの骨が折れたようで、うずくまってしまう少年。
父親はゲロトルートに対し恐ろしい目つきで睨んだ。
「貴様か、我が娘を酷い目に遭わせようとした奴は…!」
『人間ごときが…何人集まったところでナイトメアは倒せぬわ!!』
ゲロトルートは今度はターゲットを父親に変える。
そしてゲロトルートの頭の形が変わったかと思うと、それは花が開き、中心に蝶が止まっているようにも見える。
しかしその華やかともグロテスクとも言える姿と裏腹に、ゲロトルートは怒気を露わにして父親を喰らい付かんと大口を開けていた。
父親に襲いかかるゲロトルートだが、父親は怯まずに闘気を全身に纏い、ゲロトルートの攻撃に備えていた。
「我が娘には髪の毛一本触れさせん!!!」
父親とゲロトルートの激しい戦いがその場で繰り広げられた。
その時ミルカは知った。
その父親がどれだけ逞しく、強い存在であるのかを。
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