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美優は俺に抱きかかえられていてあまり身動きが取れなかったが、右手を必死に伸ばそうとした。
「美優、どうした?」
美優は手の届く範囲で俺を撫で始めると、
「痛いの痛いのとんでけ~」
と言った。
美優の行動に堪えていた涙が溢れ出す。
俺が前に美優が転んだ時とかにやってあげた、昔ながらのおまじないを真似て言ってきたのだ。
美優には弱いとこを見せたくなかったのに…
強い父親でいたかったのに…
涙を堪える俺から悲しみを感じ取られてしまったようだ。
「まだ痛い?だいじょうぶ?」
「大丈夫だよ。美優は優しいね~」
俺が優しいと言うと美優は嬉しそうに喜んでいた。
…もっと強くなって、美優を守らなくては!
俺はそう心に誓った。
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