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わたしの姿を見つけると、
靴を脱ぎ捨てるようにして、
大股でこちらに歩み寄る。
「せんせ…」
その勢いに、思わず身を
固くして目を閉じると、
次の瞬間、力強い腕が
わたしを抱きしめた。
保冷剤がボトリと床に落ちる。
顔が先生の胸に
強く押し付けられ、
呼吸が出来なくなる。
苦しくなったわたしは、
何とか顔を横に逃し、
息を吸い込んだ。
「先生…」
背中に回された手が、
ぎゅっとわたしの肩を
握りしめる。
先生の激しい鼓動が、
胸に押し付けられた
わたしの耳を打つ。
言葉は無くても、先生が
どんな気持ちでここに
駆けつけたのか、はっきりと
伝わって来た。
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