358人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「…泣かないでよ、萌…。
どうしたの？
…おなか、痛い？」
拭いても拭いても
溢れて来る涙に
降参したのか、彩加は
タオルを放り投げ、
泣きじゃくっている
わたしの身体を、
優しく抱き寄せた。
「よしよし…。
…いい子いい子」
わたしは彩加に抱きついて、
声を上げて泣き出した。
この涙の理由を
説明しようとしても、
それは難しい。
自分でも、
この感情の名前は
分からない。
わたしの好きな人は、
春山先生ひとり。
それはもちろん、変わらない。
だけど…。
最初のコメントを投稿しよう！