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「あなた、同じ会社の方とお付き合いされてますね」
「!?」
「しかも、相手の方はご結婚されてます」
嘘でしょ。
コイツ、何でそんなことを・・・。
寒気と同時に背中にじわりとと汗を感じる。
誰にも気付かれてないはずだったのに・・・。
いや、もしかしたらカマ掛けてるのかもしれない。
不倫なんて、今は珍しいものじゃないし、新手の詐欺なんかは殆どこのパターンだ。
狼狽えちゃダメ。
「また、何を根拠にそんなことを。そんな事実はありません」
私は努めて冷静を装った。
「まあ、普通は隠しますよね。では、ここからあなたの会社のビルを見てみて下さい」
私は事務男に言われるまま向かいのビルを振り返った。
でも・・・特に変わった様子は無い。
からかってるの?
事務男のくせに、私をからかおうなんて百年早い。
「見ましたけど?何か?」
私は挑発するように疑問を投げかけた。
感情むき出しの私に対し、顔色一つ変えず定位置に座ったまま淡々とボールペンの包装を終えた事務男が言う。
「気づきませんか?貴女とあの男性が逢瀬を重ねる階段、踊場以外の所はガラス張りなんです」
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