Day or Night①

13/27

200人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「こんばんは」 「いらっしゃいませ」 いつも通り顔を出すと、いつも通りの返事が聞こえる。 「これ、焼いてみたんです。また後で食べて下さい」 私は事務男にケーキを渡した。 「今日は一緒に食べないのですか?」 「ええ、今日はちょっと急用が入ってしまって」 「それは残念です。また、お待ちしてますから」 「はい・・・」 彼に会って気づいた。 まともに目が合わせられない。あんなに私を心配してくれて、いつも笑顔で受け入れてくれる彼。 申し訳ないというか、情けないというか、みっともないというか・・・。 裏切ってる。そんな後ろめたさ。 「心のケアは順調ですか?」 伏し目がちに頭を下げて店を出ようとした私に、事務男はいつもより低く厳しい口調で言った。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

200人が本棚に入れています
本棚に追加