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食事もとらないで抱き合った。
いつもより2時間程長く過ごせたけれど、一緒に居れば居るほど寂しくなっていった。
今まで我慢していたワガママや涙。
繊細な関係を壊さないように必死だった私は、いったい何だったのだろう。
修二にとって、この不倫関係はもっと単純で雑なもの。
暇つぶしに妻以外の他の女を抱ければそれで良いのだろう。
たかが私のペンダコに、あれほど執着して心配してくれた人が居るのに。
ただのお客の私の涙を、黙って肩を抱いて受け止めてくれた人が居るのに。
「もう、イヤだ・・・」
「あ、起きてたのか?オレ、そろそろ帰らないと」
シャツを着ながら修二が言う。私の小さな呟きを気にする様子なんか、微塵も感じられない。
「うん。わかった」
ワガママを言う気力も失せた私は、いつも通り素直に彼に従った。
誰かに優しくして欲しい。
縋りたい。
甘えたい。
私は、無性に事務男に会いたいと思っていた。
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