Day or Night①

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「な、何って・・・」 不機嫌な声に、私も動揺する。 なんでいつもみたいに「いらっしゃい」って言ってくれないの? 優しい笑顔が見たかったのに、何でそんなに怖い声を出すの? 昨日から感情を拒絶されっぱなしの私の心は、絶対的信頼を置いていた彼にも拒絶されたようだ。 思わず、子供みたいに下唇を噛んで悲しさをごまかそうとした。 もう、受け入れてくれる人は居ない。 「僕が、怒っていないとでも思ってるんですか?」 更に厳しい口調で叱責すると、眼鏡を外して目頭を押さえた。 「・・・だって」 私が不倫してるの知ってて優しくしてくれたんでしょ? その上で受け入れてくれてたんでしょ? 私たちは、カウンターを挟んで沈黙していた。 初めて見る怖い顔。 嫌われてしまったみたい。 あんなに優しかった彼を、怒らせてしまうなんて。 「ごめんなさい」 私は彼から視線を逸らして、外へ出ようとした。
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