Day or Night①

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「何処に行くんですか?」 帰ろうとした私に、事務男が声を掛けた。 まだ、声色は怒っている。 当然だよね。普通なら怒るよね。 わかってたけど、あなたは許してくれるって思ったの。 だって、いつでも優しい笑顔で受け入れてくれたから。 「そのまま少し待ってて下さい。全く、自分のお人よしに嫌気がさします」 黙って立ち止まっている私の横を通り過ぎ、事務男は店のシャッターを乱暴に下ろした。 暫く背中を向けたままだったけれど、「はあ」と一つ大きなため息をついた。 「涙は・・・卑怯です」 そう言うと振り返り、私の頬の涙を拭った。 「私の涙なんか・・・取るに足らないものでしょう?」 少なくとも、修二にとってはどうでも良いものだった。 「大切な人の涙が、取るに足らないもののはずがないでしょう」 強く抱きしめられて、一気に全身から力が抜けた。 「ごめんなさい・・・」 私はそのまま彼に体を委ねる。 「どうして自分を大事にできないんですか?傷つくのは、結局貴女なんですよ」 優しく頭を撫でながら、静かに私を叱った。
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