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「お腹がすきませんか?勢いで店も閉めてしまいましたし、食事にでも行きましょう」
どれくらい時間が経ったか、泣き止んだ私を胸に抱いたまま彼が言った。
「でも私、酷い顔じゃないですか?」
ずいぶん落ち着いた私は、彼の腕の中をそっと離れながら答える。
きっと、涙で化粧も崩れているはずだ。
「では、ドライブでもしながら、テイクアウトでも?」
「で、でも・・・」
見られたくなくて、私は彼から顔を逸らした。
「わかりました。僕は先に着替えて車の中を片づけますから、その後に休憩室で直せばいいですよ。僕は今のままの京香さんも、可愛いと思いますが」
事務男は奥の部屋に入り、直ぐに着替えて出て来ると、そのまま裏口へ向かった。
その後に私は休憩室に入り、簡単に化粧を直した。
さすがにフルメイクは時間が掛かり過ぎるので、簡単に済ませる。
鏡の中の自分は、きっちりアイメイクをしてないせいか、少し幼く見えた。
「お待たせしました」
前髪を整えるふりで顔を隠し裏口から出ると、彼は電話で誰かと話していた。
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