Day or Night①

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「だから、今日はもう店は閉めたんだよ。これから出掛けるんだ」 耳に入ってきたのは、さっき私を叱った時と同じような厳しい彼の声だった。 どうやら電話に気を取られて、私が出てきたことには気づいてないらしい。 「無駄だって言ってるだろ。何度も言わるなよ!」 声を荒げた彼と、このタイミングで目が合ってしまった。 固まる私を確認すると、恐らく一方的であろう電話を切った。 「出て来てたんですね。気づかなくて・・・」 一瞬にして笑顔になった彼が、こちらに駆け寄る。 だけど、ついさっきまでの彼からの変貌ぶりに、気持ちがついて行かない。 「驚かしてすいません。車で話しましょう」 言いながら慌てて裏口の鍵を閉める。 不自然な急ぎ方に疑問を感じ、差し伸べられた彼の手から思わず逃げてしまった。
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