Day or Night①

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「電話、いいんですか?」 シビアな内容だったに違いないのに、あんなに一方的に電話を切ってしまうなんて。 普段の彼から考えたら想像がつかない。 しかも、その電話を切ったのは私のせいだったみたいだし。 「いえ。もう、決着している話で・・・」 彼が説明を始めた直後、何処からかカツカツと足音が近づいて来た。 「困りましたね・・・」 足音の方向へ目をやり、彼は自分の髪の毛をクシャクシャと掻いた。 なんだか、嫌な予感。 私の胸も、妙な胸騒ぎに襲われていた。 「真ちゃん!」 甲高い女性の声が駐車場に響く。 裏通りの路地から飛び出して来たのは、私たちより少し若いであろう女の子だった。 ずいぶん急いだのだろう、はぁはぁと肩で息をしている。 洋服や持ち物から、裕福な家のお嬢さんであろうことがうかがえた。
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