Day or Night①

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「いらっしゃいませ」 いつもの場所からいつもの声が返って来る。 そしてまたいつものスタイル。 中身がどんな人なのか知ってしまったからか、この格好の意味が分からない。 あんなに素敵なのだから、こんな不思議な格好で居なくても・・・。 「先日はご迷惑おかけしてしまって、すいませんでした。これ・・・お詫びに」 私の素朴な疑問はさておき、とりあえず先日の謝罪をしてクッキーを差し出した。 「迷惑だなんて思っていませんよ。お付き合い下さって、逆にお礼をしたいくらいなのに。でも、せっかくですので、こちらは頂きますね。ありがとうございます」 事務男は少し遠慮を見せたけれど、差し出したクッキーを受け取ってくれた。 「はい。お仕事の合間にでも摘まんで下さい。あと・・・」 「あと?」 「今日からボールペン使わせて頂いてます」 「それは良かった」 事務男が笑顔を見せる。 相変わらず眼鏡は蛍光灯を反射して見えないけれど、笑う口元だけ見れば分かる。 眼鏡の下には、先日と同様に優しい眼差しが隠れているに違いない。
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