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「こんばんわ」
少しばかり残業はあったけれど、私は文房具店を訪ねた。
「お待ちしてました」
カウンターから出ると、彼は奥の部屋へと私を案内した。
「どうぞ」
「お邪魔します」
私は促されるままゆっくりと部屋に上がった。
4.5畳程の部屋にテーブルとソファー、小さな流し台とコンロが付いていて、お茶くらいは飲めそうだ。
私をソファーに座らせると、彼はお茶を沸かし始めた。
「本当に、お店は大丈夫なんですか?」
さすがに無人の店内が気になって、私は彼の背中に尋ねた。
「古い店ですし、それほどお客は来ません。来れば音が鳴りますから、ご心配なく」
「そ、そうですか・・・」
昔々に造られた建物。
部屋の天井も低めだし、流し台も低い。
身長の高い彼には窮屈な空間に思えた。
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