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「いい香りの紅茶ですね」
「ええ。そのお店で一番人気の紅茶のティーバッグなんです。クッキーも美味しいって有名なんですよ」
「そうなんですか。甘いモノが好きだと言ったのを、覚えていてくれたんですね」
美味しいクッキーといい香りの紅茶を頂きながら、他愛も無い話をしていると、とても落ち着いた。
哲平と部屋でご飯を食べているのに似た感覚だった。
先日はカッコよくキメていた『真理さん』は、今は完璧な『事務男』だ。
紅茶を飲もうとカップを持ち上げると、その度に彼の眼鏡が、湯気で曇る。
それを見ていたら、素朴な疑問を思い出した。
「何で真理さんはお仕事中その格好なんですか?」
問い掛けた瞬間、こちらを見た彼の眼鏡がまだ曇っていて、少し笑える。
「やっぱり、変ですか?」
そう言いながら眼鏡を外した彼は、軽く頭を掻いた。
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