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彼の言う通り、聞きたいことはある。
だけどそれは、車の中でしたのと同じ質問になってしまう。
しつこいと思われてしまうかもしれない。それでも、さっきの答えでは納得出来なかった。
私は納得のゆく答えが聞きたくて、再度質問を繰り返した。
「いくら嫌いになったからって、あの仕打ちはあんまりじゃないですか?もう少し・・・言い方・・・とか、やり方とか・・・」
他人に説教しながら、自分の常識の無さを思い出して徐々に声が小さくなった。
「私は彼女を嫌ってなんていません。彼女は僕の大事な人です」
私とは対照的にはっきりと言うと、彼はベンチに腰かけて隣にフリースのひざ掛けを敷いた。
「じゃあ何であんな・・・」
矛盾した彼の言葉。到底納得なんて出来るわけがない。責めるような口調になった私に、彼は静かに答えた。
「大事だからですよ。早く解放してやりたいんです。これまでも、この先も、どう転んでも、僕は彼女を女として見ることは無い。だったら、突き放してやるのが彼女のためです」
「だったら、ああなる前にどうにかしてあげられなかったんですか?」
「そうできれば良かったのですが・・・」
彼は彼女について少しずつ話し始めた。
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