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「僕と彼女は幼馴染でね。家同士も仲が良くて、幼い彼女の口癖は『真ちゃんのお嫁さんになる』でした・・・」
幼馴染の恋。よく漫画や小説にある純愛物語。
彼女のピュアな気持ちが分かると、余計に胸が痛い。
「彼女はそれを信じて大きくなったけれど、僕は・・・そうじゃなかった」
もちろん、物語のように上手くいくばかりではない。
そんなことは分かっている。
「彼女のことは妹のように大事に思っていますが、それは恋愛感情じゃない」
小さな頃から擦り込まれた思いは、彼がコントロールできる訳も無い。
彼女があそこまで彼を好きなってしまったのは、彼のせいじゃない。
無理に好きな演技をしたなら、真剣な思いの彼女に対して逆に失礼だ。
大切だからこそ突き放す。
修二が私を突き放さないのは、大切じゃないから・・・
なのかもしれない。
「真理さんの、優しさだったんですね」
今までの疑問が拭われて、安堵の気持ちが口をついた。
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