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助けを求めたくて勢い良く建物の中に入った私。
だけど、恐怖で声が出ない。
私は、震えて縋るように彼の目を見た。
「どうしました?何かあったんですか?」
いつも通りカウンターに座っていた彼が、ただならぬ様子を察知して、こちらに出て来る。
「たす・・・けて。誰かに後をつけられてて・・・」
震える右手で彼の服を握る。
「え!本当ですか!?」
真理さんは驚きながら店の外に目をやると、外に出て辺りを見回した。
「大丈夫。誰も居ませんでしたよ」
戻ってきた彼は私の頭を優しく撫でて言った。
「本当なんです。すごく古いスニーカーを履いてて、どこに行っても付いて来るんです」
信じてもらえてない気がした。だって、後をつけられるなんて、日常生活では有り得ない。
「疑ってませんよ。可哀想に、怖い思いをしましたね」
そう言うと、必死に訴える私を柔らかく抱きしめた。
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