279人が本棚に入れています
本棚に追加
「すいません。ちょっと充電したくて」
ゆっくりと腕の力を緩め、優しく私の頭を撫でた。
こういうの、好き。
ちょっと恥ずかしいし照れちゃうけど、心底甘えられる。
実際には、ほんの少し年下で学生の彼だけど、不思議な程の包容力と怖いくらいの落ち着き。
なんか、経験値が違う感じ。
彼と一緒に居ると、私はただの落ち着きのない子供だ。
「充電って・・・」
「最近、キスするシチュエーションも無いので」
なんてサラリと言ってる彼は、今は完全なる事務男スタイル。
前は、どうもこのスタイルの彼に感情移入できない自分が居たけれど、今はこのスタイルもカワイイと思える。
本当に、不思議。
「そんなに考え込まないで下さい。純粋に、あなたに触れたかっただけです。単なる下心ですよ」
黙って心地良さに浸る私をからかうように言うと、彼はカウンターの中へ戻った。
「もう!からかわないで下さい!」
恥ずかしくて、照れ隠しに少し怒った私。
慌てて謝るかと思いきや、彼は動揺すら見せず笑顔を見せた。
「そうです。たまには怒って下さい。でないと、強引に押し倒してしまいそうです」
「・・・」
返す言葉も無い私に、「領収書ですよね?」と言うと、彼は淡々と作業を進めた。
最初のコメントを投稿しよう!