揺れ動く①

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「すいません。ちょっと充電したくて」 ゆっくりと腕の力を緩め、優しく私の頭を撫でた。 こういうの、好き。 ちょっと恥ずかしいし照れちゃうけど、心底甘えられる。 実際には、ほんの少し年下で学生の彼だけど、不思議な程の包容力と怖いくらいの落ち着き。 なんか、経験値が違う感じ。 彼と一緒に居ると、私はただの落ち着きのない子供だ。 「充電って・・・」 「最近、キスするシチュエーションも無いので」 なんてサラリと言ってる彼は、今は完全なる事務男スタイル。 前は、どうもこのスタイルの彼に感情移入できない自分が居たけれど、今はこのスタイルもカワイイと思える。 本当に、不思議。 「そんなに考え込まないで下さい。純粋に、あなたに触れたかっただけです。単なる下心ですよ」 黙って心地良さに浸る私をからかうように言うと、彼はカウンターの中へ戻った。 「もう!からかわないで下さい!」 恥ずかしくて、照れ隠しに少し怒った私。 慌てて謝るかと思いきや、彼は動揺すら見せず笑顔を見せた。 「そうです。たまには怒って下さい。でないと、強引に押し倒してしまいそうです」 「・・・」 返す言葉も無い私に、「領収書ですよね?」と言うと、彼は淡々と作業を進めた。
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