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「はは・・・何言ってるんだよ?」
半笑いで狼狽えてる。
手が震えて持ったままのお猪口からお酒が少し零れた。
「修二・・・今までありがとう。早希のこと、いい加減じゃなくて、キチンとしてあげてね」
ある意味、今日はとても有意義だった。
これほどキッパリと修二との決別ができるとは思ってもみなかった。
私はバッグを掴み、席を立った。
「お、おい!待てよ」
止める修二の声が大きくてイライラする。
私、こんな男のことを好きだったんだ。
自分が、情けない。
襖をピシャリと閉めて足早で店の外に出ると、私は直ぐにタクシーを探した。
さっさとこの場から消えたいのに、こんな時に限ってなかなかタクシーが来ない。
「京香ぁ~!」
足元も覚束ない状態でふらふらと店から出て来た修二が!ベッタリと背後から私に抱きついた。
「キャーッ!」
「京香ぁ、待ってくれよ」
「い、いや!離して!」
気持ち悪い・・・。あんなに愛した体が、今はこんなに不気味で気持ち悪いなんて。
力ずくで前を向かせられ、キスを迫られる。必死で逃れようと暴れるけれど、ビクともしない。
「だ、だ、誰か!助けて!助けて下さい!!」
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