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「修二・・・私、女だから分かるの。早希は少し前から恋をしてた。会社に着てくる服や華やいだ雰囲気で、今夜デートだなって頻繁に思ってた。相手は修二だったのよね」
今更ながら思い返す。
確か早希がふわふわと浮かれた様子だった頃、修二は私と会う時間が無かった。
『奥さんにバレるかも』とか、『最近ちょっと忙しい』とか。
バカ正直に信じてた。
「俺じゃ・・・ない」
弱々しい修二の否定の言葉。
私はそれを無視して続けた。
「早希は、嬉しいことは人に聞いて欲しいタイプだわ。なのに、少し前に私に『結婚するかも』って話した時、相手の名前を挙げなかった。本当は言いたくて仕方なかったんだと思う」
そうだ。
確かに早希は言わなかった。私が聞かなかったからじゃない。早希の性格なら、聞かなくたって言うはずだもの。
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