追い討ち②

17/26
前へ
/26ページ
次へ
結局、『早希の友人を紹介』という話は断った。 たとえ真理さんが"終わった"と思っていたとしても、そんな気持ちになれるわけも無かった。 賑やかな会場の隅っこ。 私と同じお一人様が数人他愛も無い世間話をしている。 毎年一人で参加してるから、この状況には慣れっこのはずなのに、一緒に来られたはずの誰かを思うとやたらと寂しかった。 その会場へ、少し遅れて早希がやって来た。 隠すこともなく、堂々と修二のエスコートだ。 そもそも男前で背が高く見栄えのする修二。 他の会社からの参加者から少しざわめきが起こる。 その隣で笑う早希は何処かしら誇らしげだった。 バツ一の男を連れて歩いて、何が嬉しいんだろう。 少なくとも会社の同僚たちは、修二の離婚を知っているわけで、どちらかといえば恥ずかしいくらいに思えた。 実際、同僚たちは眉をひそめている。 「あ!京香」 冷めた目で二人を見つめていたら、早希と目が合ってしまった。 私は咄嗟に笑顔を作って右手を軽く振った。 主催者側の職員と話し始めた修二を置いて、早希だけが私に近寄ってきた。 「お疲れ。随分遅かったのね」 「うん。苅谷さんが少し仕事で遅くなってね。でも、絶対一緒に行くって約束してたから」 嬉しそうに話す早希からは、羞恥心など微塵も感じない。 おめでたい・・・。 心の中の悪い私が彼女を嘲笑った。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

312人が本棚に入れています
本棚に追加