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「京香聞いてよ」
数日後、たまたま出勤時間が一緒になった早希が話しかけて来た。
先日の大騒ぎから立ち直ったのだろう。
めちゃくちゃ晴れやかな顔だ。
早速新しい恋でも見つけたのだろうか。
「おはよう。随分ご機嫌なのね」
人間って勝手なもので、前は面倒で聞いてあげようとも思わなかった早希の話を、最近は聞くくらい聞いてあげようと思う。
自分の恋が不倫でもなく順調だってことが、私自身に心の余裕を与えているようだ。
早希はピョンピョンと軽く跳ねながら話しはじめた。
「苅谷さんがね。やっぱりお前しか居ないって、言ってくれたの」
「・・・は?」
「だからぁ、この前は京香にも迷惑かけちゃったけど、結局元通りってやつ?」
『やつ?』って、聞かれても私には回答のしようが無い。
確かに『キチンとしてあげて』と修二に言ったけれど、まさか付き合うほうを選ぶとは思っていなかった。
あんなに早希のことを侮辱していたのに・・・。
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