追い討ち②

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「ちょっと、電話してくる」 私は早希に告げて人気のないテラスへ向かった。 電話に出てくれるだろうか。 そう思いながらバッグから携帯を取り出した。 不安はあったけれど、迷いは微塵も無かった。   トゥルルルルル・・・ また、あの時みたいに不機嫌な声だったら・・・。 繰り返されるコール音が私を緊張させた。 「はい」 久しぶりに聞く真理さんの声。 心配していた程には、不機嫌そうではなかった。 「あ・・・京香です」 「うん」 私のドキドキを余所に、彼はとても自然な感じだった。 この感じなら、言えるかもしれない。 「真理さん・・・会いたい」 会って、直接伝えたい。 「ああ。今はまだ店なんだ」 「そ、そっか。今日はお店に出てたんだね・・・」 ずっとオバチャンだったし、今夜はパーティーだったから立ち寄らなかった。 タイミングの悪さが、私の不安を煽る。 だけど決めたんだもの。女に二言は無い。 「何度か来てくれたらしいね」 「う・・・うん。会いたくて・・・会いたくて・・・」 みっともなく声が震え出したのが、自分でも分かった。
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