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「今、どこ?」
「JYホテル・・・今日、取引業者主催のクリスマスパーティーなの」
「じゃぁ、今日は無理なんじゃない?」
私の急なお願いを冗談だと思ったのか彼が少し笑ったように思えた。
「ヤダ・・・真理さん。今すぐ会いたいよ」
「え?今って・・・僕今仕事スタイルだし、行けないよ?」
まだお店なんだから、事務スタイルだってことは分かってる。
だけど止められない。
走り出した私の思いは、溢れるように口をついた。
「会いたい・・・」
「着替えても普段着だしなぁ」
「無理なら、パーティー終わったら行って良い?」
私の問い掛けの後、かなり長い沈黙があった。
これほど考えないと答えられない程、私と会いたくないのだろうか。
数日前なら、絶対即OKしてくれたはずなのに。
「遅いよ。京香さん」
プツッ。ツー・ツー・・・
急に切られた電話。
だめ・・・だった。
今さら少し勇気を出したからって、その事実は消えないんだ。
しかもしつこく『会いたい』って・・・ウザいよね。
手遅れ・・・だね。
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