追い討ち②

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「お、おはようございます・・・苅谷さん」 修二と会話を交わすのは、あのおぞましい別れ話の夜以来だった。 今想いだしてもゾッとする。 でも、さすがにこの朝の通勤途中、大勢の人が居る中で妙な行為には及ばないだろう。 「例の件、極秘だからな。他言するなよ」 まるで仕事の要件のように言っているけれど、明らかに私たちの関係の口止めだった。 「わかっています」 私はそんなことを人に話したりしない。見くびらないで欲しいと思ってイラッとした。 「いくら仲が良くても東郷にも秘密だ」 「それも分かってます」 もう、呆れて言葉が無い。 それに、たとえ早希が私に恋愛事情をペラペラと話したとしても、私が話すことは無い。 くだらない口止めに、つい「はあ」とため息までついてしまった。 「上司に向かってため息か。そんなんだから不倫止まりなんだよ」 「・・・!」
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