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ドキドキと胸の鼓動が激しくなる。
お願い。哲平から『不倫』という言葉が出ませんように。
私はただ祈るしかなかった。
「言えないような相手だったのか、知られちゃいけない関係だったのか・・・」
震える手から、フォークが落ちそうだ。
相づちを打つ余裕なんて無い。
「いい恋してない感じだった。ただ、最近は、幸せそうだなって。いい男見つけたんだなって。そう思ってたよ」
「・・・へ?」
「幸せになって欲しいと思ってる」
「な・・・」
「たった二人だけの姉弟だし、自慢の姉ちゃんだからな。幸せになって貰わねーと」
予想してなかった。
ノーガードでストレート貰っちゃった。
まさか、哲平にKOされる日が来るなんて・・・。
「やっぱ、あんたって生意気・・・」
そんなことを言うために、ビールで勢いつけたんだ。
よくもそんな照れくさいことを・・・。
正気じゃ・・・言えないよね。
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