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「どうして連絡くれないの?」
狭い店内を早足でこちらに向かって来る真理さん。
ホントなら私も駆け寄って、彼に抱き付きたい。
しっかり抱きしめて、ずっと離したくない。
「ご、ごめんなさい。ちょっと、体調崩しちゃって、入院したりしてて」
固く拳を握り、私は自分を制した。
どこからか厳しい視線が必ず私を監視しているから。
「そんな大事なこと、どうして教えてくれなかったの?体、大丈夫なのか?」
驚いた声を上げたと同時に、私の肩に彼の手が触れた。
ダメだ。こんなところ見られたら、また何を言われるか分からない。
「だ、大丈夫!もう、すっかり元気だから!」
私はとっさに真理さんの手を肩から払い、必死で笑顔を作った。
彼の方へ顔を向けてみるけれど、目を見ることはできない。
不安定に揺れる心を読まれてしまいそうで、怖かったから・・・。
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