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「それ・・・結婚するってこと?」
「そう・・・だね。きっと、そうなると思う」
「・・・」
長い長い沈黙が二人の間に訪れた。
どちらも話さないし、飲物を飲むわけでもない。
目を合わせることもしない。
ただ、意味のない一点を見つめてじっとしていた。
結婚なんて、本当はまだまだ先の話だし考えてもいない。
お見合い結婚を否定するつもりは無いけれど、私は普通に恋愛して結婚するものだと思ってる。
だけど、この嘘をつき通すためには、こういう流れにするしか無かった。
突然だけど会社・・・辞めなくちゃいけなくなっちゃった。
哲平には申し訳ないけれど、部屋も出なくちゃ。二人なら折半で払えた家賃も、哲平一人だとかなり高額だしね。
田舎に帰っても暫くは真理さんを思い出して泣くことになるのかもしれないけど、きっと時間が解決してくれる。
不倫したり、付き合ってる彼氏が大金持ちだって突然分かったり、尾行されたり。
そんなジェットコースターみたいな毎日は、田舎には無いと思う。
そんなことで心も体も病んでしまった私を、田舎の平穏な暮らしが癒してくれるに違いない。
思いがけずついた嘘だけど、今の私に最善の道を発見させてくれたのかもしれない。
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