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会社には辞表を出し、一月いっぱいで退職することになった。 部屋も一月末で退去する手続きをした。 会社では、結婚が決まったのかと皆に聞かれた。 その度に「田舎に帰ってお見合いをするので、彼とはお別れした」と説明しなくてはいけなくて辛かった。 彼と別れたという噂を聞いたのか、また修二がことある毎にちょっかいを掛けてきた。 皆が気を使ってくれて、向かいの文房具店にお遣いに行かされることも無くなった。 ただ、噂では最近カウンターには彼ではなく中年の女性が座っているらしい。おそらく、私を真理さんの彼女だと思い込んでいたあのオバチャンだろう。 真理さんも、ここへは来づらいのかもしれない。 それに、バイトなんかしなくてもお金持ちだから何の不自由も無いだろうし・・・。 なんて、もう私には関係無い。 あと二週間もすれば、私もここから居なくなるんだから。
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