プラットフォーム①

4/30
前へ
/30ページ
次へ
「ヤベ・・・。ガムテープ無くなった」 「あ、買ってくるよ。お昼ご飯の食材すら無かったんだよね」 引っ越しが近いので、最近は買いだめして冷凍なんてことはしていなくて、少量の買い物をしてはその都度使ってしまう生活をしている。 「そっか。じゃあ、俺が荷物持ちしてやるよ」 「え・・・あ・・・ありがとう」 思いがけず弟と二人で近所のスーパーまで出かけることになった。 なんだかそんなの久しぶり過ぎて、気恥ずかしい。 小さな頃、よく二人でお遣いに出かけた。 更に小さな弟の手を引いて、弟のスピードに合わせてやって歩いたっけ。 それじゃ今は、弟のほうが私に合わせてくれている。 手こそ繋ぎはしないけれど、あの頃に戻ったみたい。 ちょっと情けない姿も見せちゃったけど、黒い自分を知られずに済みそうだ。 そして今度会う時には元気で、幸せな姉の姿を見せたい。 そんなことを考えながら、私は弟の隣を歩いた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

276人が本棚に入れています
本棚に追加