プラットホーム②

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「追いかけてあげないと」 黙って走り去る彼女の背中が、あまりにも悲しげに見えて、私は思わず真理さんに声をかけた。 「あいつを信用したい気持ちが僕の中から拭い去れなくて、迎えに来るのが遅くなった。もう、あいつのために京香さんを傷つけたくないんだ」 久々に聞いた彼の声。それだけで胸がいっぱいなのに、こんな優しい言葉をかけられて。とても平常心じゃいられない。 再び泣くことになるのを覚悟で、このまま勘違いしてしまいたい。 だけど・・・ 「ありがとう。でも、私たちは住む世界が違うから。彼女を選んであげるほうが、ご家族も喜ぶわ。助けてくれただけで、感謝してる」 やっぱり、勘違いしちゃいけない。 私は彼と同じ舞台には立てない。
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