プラットホーム②

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「私、何もしてない。きちんと別れ話もしたわ。見てたんでしょ?」 少しずつ後ずさりして、私は弾き飛ばされた携帯を拾い上げようとした。 だけれど、カツンという音とともに、私の視界から携帯が消え、更に後ろへ滑っていった。 「どうやって会ってたの?」 携帯を蹴り飛ばしたあの娘が頭上から質問を投げかける。 「やめて。私はあれから一切彼と連絡を取ってないわ」 どんなに耐えたか分からない。本当は、声だけでも聞きたかった。 さっきだって、最後にメールで『ありがとう』と伝えることすら我慢したのに・・・。 朝のプラットフォームで突然起こった二人の若い女の言い争い。 この只ならぬ状況に気がつき、私たちの周りには少しずつ人だかりが出来始めていた。 「しんちゃんはあんたと別れてないって言ったわ!」 「え・・・そんな訳無いわ」 そんなわけ無い。 あの日喫茶店で、きちんとサヨナラしたもの。 真理さんは、追っても来なかったもの。 「しらばっくれるその顔も許せないのよ。契約違反だからね。今ここであの写真をバラまいてあげる!」 「言いがかりはやめて!私本当に何もしてない!」 私はバッグの中から何かを取り出そうとする彼女に必死で叫んだ。
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