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「これがどんな写真かは・・・知ってる」
彼が発した言葉に耳を疑った。
真理さんは、あの写真を見たんだ。あの忌々しい写真を。
全身を激しい羞恥が襲った。あんな私を、真理さんは軽蔑したに違いない。
私って、なんて恥ずかしい女なんだろう。
「だったらなおさら止めないで!」
彼女は彼の手を振り払おうとする。
逃げたい。消えてしまいたい。今すぐに。
人混みをかき分けて走り去りたい。
だけど、体が全く言うことをきかない。
見たいわけじゃないのに、二人のやり取りをただ見ているだけの私。
結局、逃げることも出来なかった私に、彼の視線が向けられた。
「や・・・だ。こっち・・・見ないで」
心の底からお願いしても、彼は私から視線をそらさなかった。
もう、心の居場所が無い。
どんな風に私を見てるの?
真理さんは、どんな罵声の言葉を私に浴びせるの?
「お願い・・・恥ずかしい私を見ないで」
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