決意

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母の運転で実家へと向かう。 初めて見る娘の彼氏に、母はとても興味があるようだ。 年齢・身長・体重・好きな食べ物 あらゆる質問を投げかけた。 内心、私はドキドキしていた。 母がもし勘違いして結婚の話でもしやしないか・・・と。 今まで一度も紹介してないだけに、こういう状況に対して免疫も無いはずだ。 私は必死で話題を見つけて話が‘そっち’にいかないように、さらに沈黙しないように頑張った。 それじゃなくても今日の午前中だけでいろいろあり過ぎてグッタリなのに。更に一時間以上も耐えられないよ・・・。 そんな気持ちを知ってか知らずか、「京香さん、今日はよくしゃべるね」なんて真理さんは笑う。 でも、途中で気付いた。 母は分かってる。わたしがその話題に触れて欲しくないことを。 私が無理しなくても、母は既に察知して話題をコントロールしている。 後部座席で母の高らかな笑い声を聞きながら、私は心の中で母に感謝した。女同士だし、やっぱり一番の私の理解者だ。 そう思ったらさっきまでの緊張感が切れ、瞼が急に重くなってきた。 そういえば、今日は良く泣いたもんね・・・。 心地良く揺れる車の振動に促されて、私はウトウトと眠りに落ちていった。
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