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「五王龍起(ごおうりゅうき)? タツオキって読むのかな。この新しい天才は誰だ? 入学式のときにこんなやついたっけ」  テルがいった。 「噂じゃ、親のコネで転入してきたらしい。飛んでもなく金持ちらしいからな。五王ときいてなにか思いださないか」  タツオは自分の腕時計に目をやった。進駐官の制式時計には五弁のサクラのロゴマークが刻まれている。 「あー、あの五王重工かよ。もしかして、あそこの御曹司。すげえな。一族で日乃元の3分の1くらい持ってるんじゃないか」  最先端の兵器から、自動車、電子機器、建設土木、火力水力原子力発電、医薬品、テレビ局、世界有数のポータルサイトなどタコの足のようにからみあった巨大企業を統合する日乃元最大の財閥(ざいばつ)だった。五王が沈めば日乃元も沈むといわれる一大帝国だ。アジア最大の軍需企業で、世界中に盛んに武器輸出をしている。クニがいった。
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