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貴彦は男のナイフをかわし、すれ違いざまに空手の技である手刀をナイフを持つ手首に打ちつける。
ギッという感触が『恐らく折れた筈』との手応えをくれる。
すると後ろから、先ほど張り飛ばした一人が貴彦の背後から両手を回し締め付け、腕の自由を奪った。
前方にはあと二人いて、今にも飛びかからんばかりに身構えている。
なぜか両者とも沈黙の中にいた。
貴彦は武器を持つものがいないか、目だけを動かし見回す。幸い残りの4人は全員素手だった。
(素手なら大丈夫だ)
と思った。次の瞬間、貴彦は背後の男の脛を思い切り蹴りつけ、怯んだ男の腕を振り解き、顎を打つ。
振り返る間もなく、背中を強打されたが、その相手がいると思われる間合いに後ろ蹴りし腹に当てる。
だがそれまでだった。
その直後、貴彦は頭部に衝撃を受けたと同時に、どうっと倒れて意識を失った。
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