明かされた真実

7/57

300人が本棚に入れています
本棚に追加
/334ページ
「…それで、対人関係のことだけど、あいつにとっては不愉快で不本意なことだろうが、幼稚園時代からずっと女にもてていたらしい。 もてるというより纏わりつかれていたんだな。 あいつは嫌がって泣いたり怒ったりで、そういう子たちを追い払っていたそうだ。 小学生以後は知恵がついて、二度と来ないように、きつい暴言を吐くようになったとか。 他人に対するガードの固さみたいなものは、その頃に形成されたんだろう。ひとを遠ざけるためなら嫌われてもいいってね」 「そう…」 小枝は俯いたまま静かに聞いていた。 榊は話を続ける。 「大学に入ってからも、無愛想で不機嫌な奴って避ける者もいたが、なんせ目立つ存在でね。寄ってくる者も多かったな。 僕が絡んでいろいろあったことで、その頃の不快な出来事が今の僕への態度の原因なんだと思うよ」 なるほど、という説明が続いて、ふと小枝は榊への興味が湧いてきた。 「榊さんは、そんな彼に対して腹が立つことはないの?」 「いや…あいつとは似たもの同士なんでね。表面に表れている性格的なものは正反対に見えるかもしれないが、心に抱えているものが似てるんだ。 だからあいつが吐く暴言は、僕の心情を代弁している。あいつがどう思おうが、僕はそう思っている。 それに…」 「それに?」 榊は一瞬言い淀み、躊躇を見せるが、小枝に促され話し出す。
/334ページ

最初のコメントを投稿しよう!

300人が本棚に入れています
本棚に追加