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「あいつのお袋さんから頼まれているんだ」
「え?」
小枝は驚いた。
たが貴彦の母と榊が旧知だとしても、何ら不思議なことはないと思い直す。
「大学が同じだったのは偶然だったんだ。お互い、入試前はほとんど会わなかったし連絡もとらなくて。
入学式の時にお袋さんにばったり会って、少し話せないかと誘われてね。
今した、子供の頃の話はその時にお袋さんから聞いたことなんだよ」
榊の話に、思わず小枝は身を乗り出していた。
「お母さまはどうして榊さんにお話になったの?」
「多分だけど…あいつの、性格的なことを心配して、味方になってくれる者が必要だと…まぁ、偶然知った顔に出会って、その役割を頼む気になったんだろう」
「…‥」
「別に頼まれなくたって、変わりはなかったが」
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