明かされた真実

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翌日小枝は、朝食の他に三人分のお弁当と晩ご飯用に子ども達の好物を作り、メモを残して家を出た。 N市駅前に出てから、貴彦と彼の家族のためにスィーツの手土産を購入し、自分の昼食用にサンドイッチを買った。 バスで病院に着いた時には10時を回っていた。 (もしかしたら、もうお母さま達が来られてるかも) 少しの緊張感を抱きながら、病室のドアをノックする。 はい、と貴彦の声がしてドアを開けると、見知らぬ男が三人、貴彦のベッドを囲むようにして椅子に座っていた。 話を途切れさせ、病室の中にいるすべての人間の視線を浴び、小枝は居たたまれず今すぐドアを閉めてしまおうかと一瞬考えた。 だがすぐに貴彦が声を掛けて、小枝を中に招いた。 「すみません。お取り込み中でしたら出直しますが」 小枝が緊張気味にそう言うと、貴彦が男たちに声を掛ける。 彼女が自分の婚約者で、この場に留まることを構いませんねと押し切る貴彦。 小枝には、男たちが警察で、事件の調書を取りにきたのだと説明した。 小枝は貴彦に頷くと、男たちに会釈をしてソファーに座る。 間もなく、三人の警察官のうちの一人が咳払いをひとつし、質問の続きと思われる言葉を発した。
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