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「僕がついてる。必ず君を守るよ。子ども達のことも安心して任せて」
小枝は貴彦の胸にしがみついて目を閉じる。
(始まる。とうとう始まってしまう。このひとを愛し始めた時に覚悟していたことが...。
ずっとこのまま、幸せな時間を過ごせればそれで良かったのかもしれないけれど...。
嘘をついて、あの子達を騙し続けていたこの数ヶ月、...あの子達をの目を真っ直ぐ見られなかった)
「...あなたの身体が治ったら、少し時間をくださいな」
貴彦は、小枝の身体を引き離して、その目をしっかりと見つめる。
「すべて一人でやる気じゃないよね。僕がなんでもやるから、何があっても必ず相談するんだよ」
揉めた場合に備えて、裁判や面倒な手続き関係についても、貴彦の中では、何度もシュミレーションしてきたことでもあった。
小枝は微笑み頷いた。
「心強いわ。大丈夫よ、私を信じて」
切なさが募り、貴彦は小枝を抱きしめてキスをしたかったが、彼女が昨夜の二の舞を避けようとしているのがわかった。彼の身体のために、と。
そこへ看護師が現れて、昼食後、休憩をとったら1時半にリハビリ室に行くようにと伝えた。
小枝は、自分もリハビリに付き添う旨を看護師に伝える。
貴彦はありがとうと言ったものの、自分より彼女の身体が心配になっていた。
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