明かされた真実

41/57

300人が本棚に入れています
本棚に追加
/334ページ
小枝は、将一の話した言葉を咀嚼する努力を諦めていた。 「貴彦さんのこと…どんな事情があったとしても、私の気持ちは変わりません。 なにか隠し事があるのはわかっていましたから、いつかそれが明らかになっても、私が変わることはないと思っていました」 そう言いながらも、胸の中に渦巻くのは別の感情だった。 小枝は泣きたくなった。 将一が声を掛ける。 「それなら大丈夫だね?」 将一は、小枝の心の中を伺うかのように、じっとその瞳を見つめる。 小枝は踏ん張り、将一を見つめ返す。 「はい、大丈夫です」 最早本心からの答えではないとの自覚があった。 (もう、折れそう…) 将一は、一抹の不安は拭えないものの、これ以上のことは言えなかった。 そこへ看護師がやってきて、小枝の虚勢はぎりぎり保たれた。
/334ページ

最初のコメントを投稿しよう!

300人が本棚に入れています
本棚に追加