決意

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ダイニングテーブルで夫と向かい合い、小枝は、役所から貰ってきた書類を差し出した。 夫は頷き、後でと告げ、まずは何から話し合おうかと言った。 (やっぱり) 何をするにも、自分は楽な道を歩む夫の言動は、大概予測していたのだ。 「…まず、親権だけど…放棄してもらえる?」 少し考え、夫は頷く。 「分かった。たまに会わせてもらえるなら。それに、入学式とかの学校行事は出るから」 今まで出たことあったっけと、小枝は胸の中で皮肉った。 「…それは、子ども達の意思を尊重しながらその都度話し合っていって。私は口出ししないから」 「分かった。あと、うちの実家に年に一、二度ぐらいは一緒に帰省してもいいかな?」 「それもその都度、子ども達と話して決めて。私は揉めたくないの」 夫は了承して立ち上がり、冷蔵庫から麦茶を出してきて、飲むか?と小枝に聞く。 小枝は体調が悪く、冷たいものが堪えるため、首を横に振った。
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