決意

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そして夕食後、小枝は緊張を隠し、子ども達をリビングに集める。大切な話だと言って。 夫は案の定、食事を終えて直ぐに自室へと入ってしまった。 三人の娘は、怪訝な面持ちだったり面白がっていたり、迷惑げだったりと様々な様子だった。 小枝はどう口火を切ったものか迷っていた。 だが暫しの間、子ども達の顔を見渡しながら決めた。 言い訳や遠回りをせず、まず結論から話すことにした。 「パパと、離婚することになったの」 三人は同じ顔つきをした。文字通りポカンとなっていた。 そして、次女がええっ!と叫ぶ。 「ごめんね」 小枝は心から謝った。 末っ子は黙って目元を拭う。 それを見て、小枝の胸が潰れた。 「まぁ、わかってはいたけど、やっぱりそうなったね」 長女の言葉はなんでもなさそうでいて、実際は鼻の頭が赤くなっていた。 次女は目を瞬いていた。 小枝はもう一度、ごめんねと言うと、涙がこぼれ、それを合図にみんなで泣いた。
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