決意

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実家では、敢えて夫から切り出してもらう。 母は、日頃の夫婦の状況と小枝の妹も離婚しているためか、さほどのショックを見せず、ただ、残念だと繰り返した。 母は、娘婿へ言いたいこともあったが、娘の痩せた身体が心配で、自らの感情は抑えていたのだった。 恐らく、自分たちが帰ったあとで妹二人に電話をして愚痴をこぼすのだろうと小枝は思っていた。 その方が都合がいいとも。やはり、いろいろ聞かれたくはなかった。 母は、小枝たちの離婚届けがこれからと聞き、その姿勢を評価してくれた。 妹の離婚の時、両家の親に事後報告だったことから、両家ともの逆鱗に触れ、大荒れしたことがあったのだ。 小枝は、実家を出しなにそっと母に耳打ちする。悲しまないで、と。 そして一瞬、明るい笑顔を見せたのだった。
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